梅田ガーデンシティ女性クリニック

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『女性泌尿器科外来へ行こう』Net

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 Olsenの報告(1997)によると女性の生涯罹患率は11.1%で日本の40歳以上の女性人口の10%が骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)に罹患しているとすれば国内の患者数は約350万人となります。私の勤めている病院の女性泌尿器科ウロギネセンターには、この1年間で少なくとも500人の骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の新規患者が受診していることを考えあわせると非常にありふれた病気であることが類推されます。

骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の種類

膣から脱出してくる部分や臓器により尿道瘤、膀胱瘤、子宮脱、小腸瘤、直腸瘤などと呼ばれます(図4)。

骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の原因

Dulancyは膣ハンモックの支持をLevelT、LevelU、LevelVと分 け(図5)LevelTは膣の前上方への挙上、LevelUは側方への牽引、LevelVは尿道や会陰部の支持と定義しています。骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)は膣ハンモックのそれぞれ の部位の障害が原因とされています。LevelTの障害で子宮脱や小腸瘤、子宮摘出後の膣脱症が、LevelUの障害で膀胱瘤や直腸瘤が、LevelVの障害で尿道瘤がおこることになります。さらにその原因は尿失禁と同様に妊娠・出産、肥満、女性ホルモンの減少、加齢にともなう筋肉や靱帯の弱まりにあると考えられています。

骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の頻度

骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)を多い順に並べと、膀胱瘤>子宮脱>直腸瘤、となります。

 

骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の症状

膣から何かピンポン球のようなものが出ている、入浴時に手に何かが触れる、股の間に何かが挟まっているような気がする、などから始まり、ひどくなると脱出した膣壁が下着に擦れて出血したり、痛みで歩行すら困難になったりします。

骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の診断

どの部位がどれだけ脱出しているかを診断することが必要で、何種類かの記載法が用いられて来ましたが、最近では国際的に最もよく用いられているのはPOP-Qシステムという記載法です(図6)。骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の診察に最も適した時間帯は、臓器の脱出しやすい午後の遅い時間帯で、さらに砕石位で脱出を認めない場合には、立位で軽く足を開いた状態で腹圧をかけてもらうことにより臓器が脱出しやすくなります。

 

○骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の治療

理学療法

軽い場合(例えば臓器が膣口より頭側に保たれている場合)には骨盤底筋体操などの理学療法や生活上の注意(後述します)により対処します。臓器が膣口より体外に脱出している場合(例えばPOP-Qシステムのgrade3、4)にはペッサリーによる治療や外科的治療の対象になります。

ペッサリー療法

リング状のペッサリーという器具を膣に挿入して子宮を支持する治療法です。ペッサリーは異物なので留置により膣に炎症を来たし、膣壁のびらんなどがおこります。炎症を繰り返しペッサリーが膣壁に埋まり込んで抜けなくなったケースにも時々遭遇します。自己脱着出来る患者さんや、手術までの一時的な治療法として位置づけると治療の良い選択肢と考えることが出来ます。ただし後ほど紹介するような低侵襲手術が可能となった今では、手術リスクのない患者さんに目的をはっきりさせずベッサリー療法を続けることは患者さんのQOLにとっても得策ではないと考えます。

フェミクッション

特徴と効果
 フェミクッションは、骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)に独自に開発されたクッション・ ホルダー・サポーターの3つの構成品から できております。まず、 クッションにより、骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)で下垂した臓器を優しく受け止め、ホルダーに差し込むことによりクッションの位置ずれ防止します。 更にサポーターによりクッションとホルダーをしっかり固定するこ とにより、どんな動作にも柔軟に対応することにより、どんな動作にも柔軟に対応することができ、生活の様々なシーンを快適に お過ごしいただけます。ホルダーは少量の尿とおりものを吸収 する素材を使用しているので、外出の時も安心です。またフェミクッションは、患者さん自身で必要に応じて手軽に装着でき、周囲の人に知られる心配もありません。ご使用中も、患者さん自身で使用状況を確認でき、破損等の有無の点検をすることにより安全にご使用いただけます。

 

手術療法

骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の根本的な治療は外科手術によって膣ハンモックを修復することにつきます。

これまでの手術

例えば子宮脱(LevelTの障害)には子宮自体に問題が無くとも子宮を摘出してから残った膣の上端部(膣円蓋)を靱帯などの組織に固定して引き上げる治療を、膀胱瘤(LevelUの障害)には弱くなった膣の前壁を縫縮する手術が一般的であったが、脆弱な組織を用いて再建することから再発率が高い(30%以上)ことが問題でした。

最新の手術

メッシュを用いる低侵襲手術―Tension-free vaginal mesh(TVM)手術―  2000年にフランスで始められたこの手術は、子宮脱であっても子宮自体に問題がなければ子宮を温存できること、大きなメッシュ自体で骨盤底にハンモックを再建する(図7)ため再発がきわめて少ないことなどの利点を持ち、低侵襲で優れた手術です。国内ではまだ数えるほどの施設でしか実施されていませんが、数年のうちに骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)の治療のスタンダードになると考えられます。

 

以上骨盤底の障害による尿失禁と骨盤臓器脱(性器脱・子宮脱)は非常に多い病気で高齢者においても治療が可能なので、あきらめる前に是非一度は専門医の診察を受けたいものです。

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