良秀会ブログ
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2007年01月17日

気になる値“血清クレアチニン”

我々は毎日、筋肉を動かすにはエネルギーが必要です。そのエネルギーは体内でATP(アデノシン三リン酸)がADP(アデノシン二リン酸)と無機リンに分解される時に発生するエネルギーを用います。このATP産生する系にはルートが三つあります。①ATP-PCr系、②解糖系、③有酸素系です。①のATP-PCr系は筋肉内でクレアチンリン酸がクレアチンと無機リンに分解するときに発生するエネルギーを用いてATPを再合成します。他の2つのエネルギー供給系と比べ、単位時間当たりに供給されるエネルギー量(エネルギー供給速度)はこの系が最も大きいが、クレアチンリン酸の量に限りがあるため、この機構が最大限に動員されると7~8秒でATPの供給を停止してしまいます。クレアチンはアルギニンとグリシンというアミノ酸で作られ、筋肉や脳に多く含まれています。安静時にクレアチンリン酸に作り替えられ、一部はクレアチニンになって筋肉から血中へ出ていき、最終的にクレアチニン尿へ排泄されます。
私の仕事の外来での栄養指導は保存期腎不全といって腎不全であるがまだ透析を行っていない患者様が多く、食事療法をきちんとすることによって透析導入を遅延させることができます。当良秀会グループには500名以上の透析患者様がいますが、300人以上の保存期腎不全の患者様が来られ、最近では他府県からも栄養指導を受けに来院されます。腎臓は血液から尿を作る臓器ですが、体内で不要になった老廃物の排泄や体液の水分・電解質の調節、ホルモンの分泌、ビタミンDの活性化など行なう様々な機能を持っています。慢性腎不全とは腎機能が1/3以下になった状態をいい最終は血液透析か腎移植になります。しかし、腎臓はどんどん悪化してもほとんど自覚症状はありませんので、色々な検査で診断されます。そのなかで、二つの血液検査データ「クレアチニン」と「尿素窒素」が重要な指標になります。特に血液中のクレアチニン濃度は腎機能を知る重要な指標になります。筋肉量はふつう15歳から80歳までの間あまり変わりませんので、クレアチニンの一日の産生量はいつも一定です。しかもクレアチニンは腎からしか出て行きませんので血液中のクレアチニンの濃度が上昇すれば腎機能が悪化していると考えます。筋肉を動かす強力なエネルギー供給のルートのクレアチンリン酸ですが、腎からみた“血清クレアチニン”は気になる値です。

医療法人良秀会 藤井病院 栄養科 管理栄養士 下出 真知子

※セレッソ大阪会報誌「Twelfth」67号掲載

2007年01月04日

町の内科医の独り言

 内科外来の患者さんは一人一人が十人十色、診察室の会話も人それぞれ違います。けれど糖尿病の患者さんの場合、特に私と同年代の中年男性の時は、よく似た展開になることが多いようです。まず最初に “これからは、もっと体を動かして食事にも注意しよう。”って。それをそのまま実行してくれると、こちらとしても助かるんですがけれど、最後に本音が出ちゃうんですね。“先生、少々食べても飲んでも運動すれば血糖は下がるんでしょう。”食事量とアルコールを減らしたくない気持ちは、とってもよくわかるんですけどねぇ。
そこから私の説明が始まります。“人の体は、えらく燃費の良い車みたいなもので少々の運動では血糖値は下がりませんよ。”って。そう言うと多くの患者さんはがっかりした表情になるんですが、更に説明を続けます。“けれど体質が変わります。運動によるカロリー消費は簡単に出来るわけではありませんが毎日1時間ほど歩き続けるだけで血糖を下げるインスリンが効きやすい体質になり、結果的に血糖は下がってきます。それから肥満と動脈硬化の進展を抑制します。糖尿病の患者さんの命を奪うのは有名な3大合併症(失明、腎不全、手足の神経障害)ではなく動脈硬化による脳卒中や心筋梗塞ですからその予防に運動を行なうことはとても有効なんです。けれど、やりすぎると病状を悪化させることもありますから意識的に運動療法を始める前には必ず相談してくださいね。”
さて、その後の展開はと言えば私と同年代の中年男は体を動かすことには根性があるようで皆さん、頑張ってくれます。けれどアルコールを控えることには根性が働かないような気がします。髪の毛も薄くなり始め若い女性には振り向いてもらえない年代になっているからかなぁ。最後は私がわびしい気分になってしまって診察終了。で、今日のお話はこれでおしまい。

※セレッソ大阪会報誌「Twelfth」66号掲載